文部科学省 科学研究費補助金

公募研究

これまで細胞死は細胞の一生の最終過程であり、生じた死細胞は単に捨て去られる存在であると考えられてきた。ところが近年、この死細胞が実は情報の発信源となり、免疫応答、炎症、修復、再生、線維化といった細胞死後に起こる様々な生体応答の起点となっていることが明らかとなってきた。
本領域では、この死細胞から発信されるメッセージをダイイングコードと名付け、その同定と機能解析を通して、細胞死を起点とする生体制御ネットワークの全容の解明を目指す。生体に存在する複数の細胞死プログラムが、それぞれどのような生理的•病理的状況で実行されるのかを明らかにするとともに、各細胞死に固有のダイイングコードが、細胞死後の生体応答に果たす役割を明らかにする。これらの解析により、最終的に生体内での各細胞死プログラムの存在意義を詳らかにすることを目指す。
このため、以下の研究項目について、「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、これらに関連する2年間の研究を公募する。1年間の研究は公募の対象としない。また、研究分担者を置くことはできない。
公募研究の採択目安件数は、単年度当たりの応募額500万円を上限とする研究を6件程度、300万円を上限とする研究を8件程度予定している。
特に、組織傷害後の再生や修復に関与するダイイングコードの研究、マウス疾患モデルやヒト疾患の病態を規定する新規ダイイングコードの同定とその役割に関する研究、モデル動物を用いて発生や再生における細胞死およびダイイングコードの意義を明らかにする研究、および細胞死イメージング研究を歓迎する。また、これまでの枠にとらわれない、独創的な研究を展開する若手研究者の積極的な応募を期待する。

 

(研究項目)
A01:多様な細胞死の分子機構と生体内での捕捉
種々の細胞死が実行される分子メカニズムを解明することにより、各細胞死の特異性を分子レベルで定義し、それぞれの細胞死をマウス生体内で特異的に検出するシステムを構築する。また、各細胞死の実行に必要な特異的遺伝子の欠損マウスの作製や細胞死阻害剤の開発を通して、個々の細胞死の生理的・病理的役割を明らかにする。

 

細胞死を起点とするダイイングコード授受の1細胞実時間イメージング

HP用写真白崎先生

研究代表者 白崎善隆 (東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)

http://www.biochem.s.u-tokyo.ac.jp/uemura-lab/japanese/home_ja.html

ダイイングコードは細胞死の過程でどのように発信されるのでしょうか?私達はこれまでに1細胞リアルタイム分泌イメージング法を開発し、ダイイングコードの一種であるIL-1βが細胞形質膜の破綻に伴って一過的に放出される動態を見出しました。本研究では種々の可溶性ダイイングコードの放出及び受容細胞の応答を1細胞レベルで可視化し、細胞死を起点とする生体応答カスケードの動的様相を解明します。

 

1. Liu T, Yamaguchi Y, Shirasaki Y, Shikada K, Yamagishi M, Hoshino K, Kaisho T, Takemoto K, Suzuki T, Kuranaga E, Ohara O, Miura M.

Real-time single cell analysis provides direct evidence that digital activation of caspase-1 couples macrophage cell death and IL-1b secretion.

Cell Rep. 8: 974-82. 2014

2. Shirasaki Y, Yamagishi M, Suzuki N, Izawa K, Nakahara A, Mizuno J, Shoji S, Heike T, Harada Y, Nishikomori R, Ohara O.

Real-time single-cell imaging of protein secretion.

Sci. Rep. 4:4736. 2014

 

活性化ヘム検出に立脚した活性酸素誘導性細胞死の評価系開発

HP用写真佐藤先生

研究代表者 佐藤伸一 (東京工業大学資源化学研究所合成化学部門)

http://www.syn.res.titech.ac.jp/

計画的ネクローシスに共通する細胞死シグナルとしての活性酸素に着目し、細胞死に関わる活性酸素代謝を担うヘムタンパク質を捉えることを目的とする。我々が見出したヘムを触媒とするラジカル的タンパク質ラベル化という有機化学反応を活用し、ケミカルバイオロジーの手法によって活性酸素の代謝経路・細胞損傷メカニズムの解明、ヘムタンパク質の活性化度に立脚した細胞死のプロファイル手法、新規細胞死制御剤の開発に取り組む。

 

1. Sato S, Morita K, Nakamura H.

Regulation of target protein knockdown and labeling using ligand-directed Ru(bpy)3 photocatalyst.

Bioconjug. Chem. 26: 250-6. 2015

2. Sato S, Nakamura H.

Ligand-directed selective protein modification based on local single-electron-transfer catalysis.

Angew. Chem. Int. Ed. 52:8681-4. 2013

 

脂肪肝再生過程での細胞死制御メカニズムの解明

HP用写真井上先生

研究代表者 井上 啓 (金沢大学新学術創成研究機構革新的統合バイオ研究コア栄養・代謝研究ユニット)

http://inoue.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html

脂肪肝では、肝臓の強靭な再生能が障害される。脂肪肝での再生障害は、統合的ストレス応答の亢進による肝細胞死の増加と関連する。我々は、統合的ストレス応答増強による肝細胞死の増加が、CHOP依存的である事やRIP3発現亢進と関連する事を見出している。本研究では、脂肪肝再生過程での統合的ストレス応答に伴う細胞死制御メカニズムの解明を目的とし、CHOP及びRIP3の肝細胞死誘導における重要性を検討する。

 

1. Inaba Y, Furutani T, Kimura K, Watanabe H, Haga S, Kido Y, Matsumoto M, Yamamoto Y, Harada K, Kaneko S, Oyadomari S, Ozaki M, Kasuga M, Inoue H.

Gadd34 regulates liver regeneration in hepatic steatosis.

Hepatology 61:1343-56. 2015

2. Kimura K, Yamada T, Matusmoto M, Kido Y, Hosooka T, Asahara S, Matsuda T, Ota T, Watanabe H, Sai Y, Miyamoto K, Kaneko S, Kasuga M, Inoue H.

Endoplasmic Reticulum Stress Inhibits STAT3-dependent Suppression of Hepatic Gluconeogenesis via Dephosphorylation and Deacetylation.

Diabetes 61:61-73. 2012

 

caspase-8と10それぞれが阻害する二種類の新規細胞死の解析

HP用写真米原先生

研究代表者 米原 伸 (京都大学大学院生命科学研究科高次遺伝情報学分野)

http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/Fas/Home_j.htm

デスレセプターFasを発見・命名して以来、細胞死に関連した研究を分子・細胞・生体レベルで実施している。本研究領域では、Fas誘導アポトーシスに必須のcaspase-8が抑制するIFN-γが誘導する計画的ネクローシスの分子機構(二つの異なった機構が存在する)と、caspase-8に近縁のcaspase-10が抑制するがん細胞特異的な新規細胞死の分子機構と生理機能の研究を行っていく予定である。

 

1. Yonehara S, Ishii A, and Yonehara M.

A cell-killing monoclonal antibody (anti-Fas) to a cell surface antigen co-downregulated with the receptor of tumor necrosis factor.

J. Exp. Med. 169:1747-56. 1989

2. Kikuchi M, Kuroki S, Kayama M, Sakaguchi S, Lee KK, Yonehara S.

Protease activity of procaspase-8 is essential for cell survival by inhibiting both apoptotic and nonapoptotic cell death dependent on receptor interacting protein kinase 1 (RIP1) and RIP3.

J. Biol. Chem. 287: 41165-73. 2012

 

CRISPRゲノム編集法によるCaspase-11依存的パイロトーシスの解析

HP用写真山本先生

研究代表者 山本雅裕 (大阪大学微生物病研究所感染病態分野/大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫寄生虫学)

http://www.biken.osaka-u.ac.jp/lab/immpara/index.html

本研究は、細胞死の中でも様々な病原体感染によって誘導される事が知られているパイロトーシスの誘導に必須の過程である病原体含有膜破壊の制御機構の解明を軸として、病原体成分によるCaspase-11やAim2依存的なインフラマソーム活性化機構と病原体含有膜制御機構の破綻に伴う生体応答について解析を行うことにより、病原体含有膜が破綻した際に見られるパイロトーシスの全容解明を目指す。

 

1. Yamamoto M, Okuyama M, Ma JS, Kimura T, Kamiyama N, Saiga H, Ohshima J, Sasai M, Kayama H, Okamoto T, Huang DS, Soldati-Favre D, Horie K, Takeda J, Takeda K.

A cluster of interferon-γ-inducible p65 GTPases plays a critical role in host defense against Toxoplasma gondii.

Immunity 37:302-13. 2012

2. Meunier E, Dick MS, Dreier RF, Schürmann N, Kenzelmann Broz D, Warming S, Roose-Girma M, Bumann D, Kayagaki N, Takeda K, Yamamoto M, Broz P.

Caspase-11 activation requires lysis of pathogen-containing vacuoles by IFN-induced GTPases.

Nature 509:366-70. 2014

 

異常レベルに応じた選択的な細胞死誘導

HP用写真谷口先生

研究代表者 谷口喜一郎 (学習院大学理学部生命科学科)

http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~e090001/

増殖能力の低い組織では、分化細胞を長期間維持するため、細胞死が誘導されにくい傾向がある。一方で、細胞死誘導の回避は、外的ストレスにより生じる各種異常の蓄積につながり、恒常性破綻のリスクを増大させる。このため組織は、異常レベルを検出し、リスクの高い細胞のみを排除していると予想される。本研究では、ショウジョウバエ非再生系組織を用い、“異常レベルに応じた細胞の生存/排除振り分け機構”の解明に取り組む。

 

1. Taniguchi K, Kokuryo A, Imano T, Minami R, Nakagoshi H, Adachi-Yamada T.

Isoform-specific functions of Mud/NuMA mediate binucleation of Drosophila male accessory gland cells.

BMC Dev Biol. 4:46. 2014

2. Taniguchi K, Maeda R, Ando T, Okumura T, Nakazawa N, Hatori R, Nakamura M, Hozumi S, Fujiwara H, Matsuno K.

Chirality in planar cell shape contributes to left-right asymmetric epithelial morphogenesis.

Science 333:339-41. 2011

 

心不全の原因となる脂質酸化依存的フェロトーシス様新規細胞死の分子メカニズムの解析

HP用写真今井先生

研究代表者 今井浩孝 (北里大学薬学部衛生化学教室)

http://www.pharm.kitasato-u.ac.jp/eisei/eisei/Top_page.html

GPx4は酸化されたリン脂質を直接還元できるグルタチオンペルオキシダーゼである。GPx4を様々な組織で欠損させると、脂質酸化依存的新規細胞死(フェロトーシス様細胞死)を誘導する。この細胞死はビタミンEで抑制される。GPx4は最近、抗ガン剤による鉄依存的細胞死(フェロトーシス)の制御因子であることが報告された。本研究ではGPx4欠損による脂質酸化依存的新規細胞死の分子メカニズムを明らかにする。

 

1. Roggia MF, Imai H, Shiraya T, Noda Y, Ueta T.

Protective role of glutathione peroxidase 4 in laser-induced choroidal neovascularization in mice.

PLoS One 9: e98864. 2014

2. Imai H, Hakkaku N, Iwamoto R, Suzuki J, Suzuki T, Tajima Y, Konishi K, Minami S, Ichinose S, Ishizuka K, Shioda S, Arata S, Nishimura M, Naito S, Nakagawa Y.

Deletion of selenoprotein GPx4 in spermatocytes causes male infertility in mice.

J. Biol. Chem. 284: 32522-32. 2009

 

in vivoの核の分解過程に着目した新しい細胞死経路の探索

HP用写真小池先生

研究代表者 小池正人 (順天堂大学大学院医学系研究科神経機能構造学講座)

http://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/shinkei_kozo/

小児の神経変性疾患のモデルマウスのカテプシンD欠損マウスの中枢神経系・網膜の細胞死、低酸素—脳虚血負荷後の海馬の神経細胞死の系におけるCADによらない核酸分解酵素の関与、ネクロプトーシスの関与などを遺伝学的に検討することにより神経細胞死の分子機構を明らかにしたいと考えております。併せてこれまで行ってきた細胞死の形態学的解析をさらに発展させ、電顕三次元立体構築による細胞死の解析系を立ち上げます。

 

1.  Asano T, Koike M, Sakata S, Takeda Y, Nakagawa T, Hatano T, Ohashi S, Funayama M, Yoshimi K, Asanuma M, Toyokuni S, Mochizuki S, Uchiyama Y, Hattori N, Iwai K.

Iron induces mitochondrial damage that recruits parkin.

Neurosci. Lett. 588:29-35. 2015

2. Koike M, Tanida I, Nanao T, Tada N, Iwata J, Ueno T, Kominami E, Uchiyama Y.

Enrichment of GABARAP relative to LC3 in the axonal initial segments of neurons.

PLoS One 8:e63568. 2013

 

 

A02:細胞死を起点とする生体応答とその異常
多様な死細胞を起点とするシグナルを探索・同定し、それらのシグナルの生成機構およびそれぞれの因子が担う免疫応答、炎症、修復、再生、線維化といった生体応答を明らかにする。また、それらのシグナルが誘導する有益な生体応答と、その破綻に伴う疾患の発症機構を解析し、疾患の診断や治療法確立への応用も目指す。

 

ネクロプトーシスにより発症する重症薬疹の機序解明

HP用写真阿部先生

研究代表者 阿部理一郎 (新潟大学大学院医歯学総合研究科分子細胞医学専攻細胞機能講座皮膚科学分野

http://www.med.niigata-u.ac.jp/der/

重篤な後遺症を残し、致死的な重症薬疹(Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症)は、皮膚および角膜の上皮細胞壊死が起こることを特徴とする。最近私たちは、この細胞死がネクロプトーシスであり、annexin A1/formyl peptide receptor 1経路により誘導されることを明らかにした。このメカニズムを解明し、ネクロプトーシス阻害作用を持つ治療薬の開発を目標とする。

 

1. Saito N, Qiao H, Yanagi T, Shinkuma S, Nishimura K, Suto A, Fujita Y, Suzuki S, Nomura T, Nakamura H, Nagao K, Obuse C, Shimizu H, Abe R.

An annexin A1-FPR1 interaction contributes to necroptosis of keratinocytes in severe cutaneous adverse drug reactions.

Sci. Transl. Med. 6:245ra95. 2014

2. Saito N, Yoshioka N, Abe R, Qiao H, Fujita Y, Hoshina D, Suto A, Kase S, Kitaichi N, Ozaki M, Shimizu H.

Stevens-Johnson syndrome/toxic epidermal necrolysis mouse model generated by using PBMCs and the skin of patients.J.

J Allergy Clin Immunol 131:434-41. 2013

 

粘膜上皮ダイイングコードによる炎症応答制御機構の解明

HP用写真渋谷先生

研究代表者 渋谷 彰 (筑波大学医学医療系生命領域学祭研究センター)

http://immuno-tsukuba.com/index.html

皮膚、腸管、気道などの粘膜上皮は、病原微生物、共生細菌などを含む外来異物に常に曝され、細胞死に陥っては新生を繰り返すターンオーバーの速い組織である。我々は、骨髄球系細胞に発現する抑制性受容体であるCD300aが新しいPhosphatidylserine 受容体であることを明らかにした。本研究では、皮膚、腸管、気道などの恒常性維持におけるCD300aの機能を明らかにする。

 

1. Totsuka N, Kim YG, Kanemaru K, Niizuma K, Umemoto E, Nagai K, Tahara-Hanaoka S, Nakahasi-Oda C, Honda S, Miyasaka M, Shibuya K, Shibuya A.

Toll-like receptor 4 and MAIR-II/CLM-4/LMIR2 immunoreceptor regulate VLA-4-mediated inflammatory monocyte migration.

Nat Commun. 5:4710. 2014.

2. Kim YG, Udayanga KG, Totsuka N, Weinberg JB, Núñez G, Shibuya A.

Gut dysbiosis promotes M2 macrophage polarization and allergic airway inflammation via fungi-induced PGE₂.

Cell Host Microbe. 15:95-102. 2014

 

急性、慢性放射線腸障害におけるダイイングコードの解明

HP用写真植松先生

研究代表者 植松 智 (千葉大学大学院医学研究院医学部粘膜免疫学/東京大学医科学研究所国際粘膜ワクチン開発研究センタ-)

http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/mucosa/

http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/shizenmenekiseigyo/index.html

当研究室では、腸管粘膜に存在する個々の自然免疫細胞の機能を丹念に解析し、様々な腸管病態における免疫機構の役割を解明したいと考えています。特に、放射線照射後に誘導される細胞死を起点とした腸管の難治性の炎症病態の解明と新規治療法の開発を目指しています。

 

1. Takemura N, Kawasaki T, Kunisawa J, Sato S, Lamichhane A, Kobiyama K, Aoshi T, Ito J, Mizuguchi K, Karuppuchamy T, Matsunaga K, Miyatake S, Mori N, Tsujimura T, Satoh T, Kumagai Y, Kawai T, Standley DM, Ishii KJ, Kiyono H, Akira S, Uematsu S.

Blockade of TLR3 protects mice from lethal radiation-induced gastrointestinal syndrome.

Nat Commun.  5:3492. 2014

2. Uematsu S,Fujimoto K, Jang MH, Yang BG, Jung YJ, Nishiyama M, Sato S, Tsujimura T, Yamamoto M, Yokota Y, Kiyono H, Miyasaka M, Ishii KJ, Akira S.

Regulation of humoral and cellular gut immunity by lamina propria dendritic cells expressing Toll-like receptor 5.

Nat Immunol. 9:769-76. 2008.

 

肝細胞死に応答して肝臓の線維化および再生を誘導・制御する新規ストローマ細胞の解析

HP用写真伊藤先生

研究代表者 伊藤 暢 (東京大学分子細胞生物学研究所発生・再生研究分野

http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/cytokine/

重篤な障害を受けた肝臓組織では、線維質の産生・蓄積による物理的な組織構築の保持と、肝実質細胞の分化・新生(再生応答)が誘導されます。我々は最近、線維化誘導と再生応答の両者の制御に関わる、新規ストローマ細胞の存在を見出しました。この新規ストローマ細胞の性状と生理機能を明確にすると共に、その活性化を担うシグナルの解析を行うことで、肝臓における細胞死を起点とした生体反応誘導メカニズムの解明を目指します。

 

1. Kaneko K, Kamimoto K, Miyajima A, Itoh T.

Adaptive remodeling of the biliary architecture underlies liver homeostasis.

Hepatology 61: 2056-66.  2015

2. Takase HM, Itoh T, Ino S, Wang T, Koji T, Akira S, Takikawa Y, Atsushi Miyajima A.

FGF7 is a functional niche signal required for stimulation of adult liver progenitor cells that support liver regeneration.

Genes & Development 27: 169-81. 2013

 

組織の修復と破壊を促進するダイイングコードの解明

HP用写真菅波先生

研究代表者 菅波孝祥 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臓器代謝ネットワーク講座

http://www.tmd.ac.jp/grad/cme/index.html

我々は、結核菌や真菌に対する病原体センサーMincleが、代謝性に誘導される組織の破壊・修復バランスの主要な制御分子であることを見出した。即ち、Mincleはダイイングコードを認識して、局所環境に対応した病態を誘導する。本研究では、慢性炎症モデル(メタボリックシンドローム)と急性炎症モデル(虚血再灌流傷害)を用いて、Mincleを介する生体応答の分子機構を明らかにする。

 

1. Tanaka M, Ikeda K, Suganami T, Komiya C, Ochi K, Shirakawa I, Hamaguchi M, Nishimura S, Manabe I, Matsuda T, Kimura K, Inoue H, Inagaki Y, Aoe S, Yamasaki S, Ogawa Y.

Macrophage-inducible C-type lectin underlies obesity-induced adipose tissue fibrosis.

Nat  Commun. 5: 4982. 2014

2. Ichioka M, Suganami T, Tsuda N, Shirakawa I, Hirata Y, Satoh-Asahara N, Shimoda Y, Tanaka M, Kim-Saijo M, Miyamoto Y, Kamei Y, Sata M, Ogawa Y.

Increased expression of macrophage-inducible C-type lectin in adipose tissue of obese mice and humans.

Diabetes 60: 819-26. 2011

 

遠位切断軸索からのダイイングコード

HP用写真久本先生

研究代表者 久本直毅 (名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻生体応答論講座

http://bunshi3.bio.nagoya-u.ac.jp/~bunshi6/matsumoto_japanese/celegans.html

神経軸索の再生機構の研究は社会的要請の高い喫緊の課題である。近年の研究から、軸索再生機構は種を超えて保存されていることがわかってきたが、その制御メカニズムの詳細については未だ不明の部分が多い。本研究では線虫C.エレガンスをモデルとして、切断後に変性して「死」にゆく遠位側の軸索が、どのようなダイイングコードを発信することで神経軸索再生を制御するのかについて検討する。

 

1. Pastuhov SI, Fujiki K, Nix P, Kanao S, Bastiani M, Matsumoto K, Hisamoto N.

Endocannabinoid-Goa signalling inhibits axon regeneration in Caenorhabditis elegans by antagonizing the Gqa-PKC-JNK signalling.

Nat Commun. 3:1136. 2012

2. Li C, Hisamoto N, Nix P, Kanao S, Mizuno T, Bastiani M, Matsumoto K.

The growth factor SVH-1 regulates axon regeneration in C. elegans via the JNK MAPK cascade.

Nat Neurosci. 15:551-7. 2012

 

細胞死を介した免疫調節因子の放出機序とその意義の解明

HP用写真斉藤先生

研究代表者 齊藤達哉 (徳島大学疾患酵素学研究センターシグナル伝達と糖尿病研究部

HP作成中

自然免疫は病原体に対する感染防御機構であるが、誤って活性化すると過度な炎症を惹起する。そのため、自然免疫は自己免疫疾患や代謝内分泌疾患などの発症にも深く関わる。パターン認識受容体による異物感知から転写因子活性化までの情報伝達が解明される一方で、細胞死を介した自然免疫応答には不明な点が残されている。本研究では、貪食細胞の細胞死に伴う免疫調節因子の放出について、分子機構と病態生理的意義を解明する。

 

1. Misawa T, Takahama M, Kozaki T, Lee H, Zou J, Saitoh T, Akira S.

Microtubule-driven spatial arrangement of mitochondria promotes activation of the NLRP3 inflammasome.

Nat Immunol.14: 454-60. 2013

2. Saitoh T, Fujita N, Jang MH, Uematsu S, Yang BG, Satoh T, Omori H, Noda T, Yamamoto N, Komatsu M, Tanaka K, Kawai T, Tsujimura T, Takeuchi O, Yoshimori T, Akira S.

Loss of the autophagy protein Atg16L1 enhances endotoxin-induced IL-1beta production.

Nature 456:264-8. 2008

 

抗癌剤により死滅した癌細胞に対する自然免疫応答の解析

HP用写真河合先生

研究代表者 河合太郎 (奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科分子免疫制御

http://bsw3.naist.jp/kawai/

これまで、Toll-like receptors (TLRs)やRIG-I-likereceptors (RLRs)を介したウイルスRNA認識機構ならびに下流シグナル伝達経路の解析を通してウイルスに対する自然免疫応答について研究を行ってきた。現在、ウイルス感染やストレス刺激により活性化される細胞死シグナル伝達経路の解析と、それに伴い放出される内在性因子による炎症惹起や獲得免疫形成機構の解明を目指している。

 

1. Kawasaki T, Takemura N, Standley DM, Akira S, Kawai T.

The second messenger phosphatidylinositol-5-phosphate facilitates antiviral innate immune signaling.

Cell Host Microbe. 14:148-58. 2013

2. Zou J, Kawai T, Tsuchida T, Kozaki T, Tanaka H, Shin KS, Kumar H, Akira S.

Poly IC triggers a cathepsin D- and IPS-1-dependent pathway to enhance cytokine production and mediate dendritic cell necroptosis.

Immunity 38:717-28. 2013

 

計画的細胞死に共役した細胞内小胞輸送の改変と細胞外シグナルの生成

HP用写真鎌田先生

研究代表者 鎌田英明 (広島大学大学院医歯薬保健学研究院医化学研究室

http://home.hiroshima-u.ac.jp/ikagaku/index.html

TNFaはIKKbからNF-kBにいたる経路を介して遺伝子発現を制御すると共に、アポトーシスやネクロプトーシスを誘導して細胞内因子を細胞外に放出して炎症応答を制御する。興味深いことに、この細胞内因子の放出にともなう細胞外シグナルの生成過程にはRabファミリーなどの細胞内小胞輸送系が共役する。本研究では細胞内小胞輸送を介した細胞死の細胞外シグナル形成機構と炎症応答との連関を解析する。

 

1. Tsuchiya Y, Asano T, Nakayama K, Kato Jr. T,  Karin M, Kamata H.

IKKb is an adaptor protein for b-TrCP mediated IkBa ubiquitination in UV-induced NF-kB activation.

Molecular Cell 39:570-82. 2010

2. Kamata H, Honda S, Maeda S, Chang L, Hirata H, Karin M.

Reactive oxygen species promote TNFa-induced cell death and sustained JNK activation by oxidizing MAP kinase phosphatases.

Cell 120: 649-61. 2005

 

筋線維芽細胞による死細胞の貪食が組織の線維化に及ぼす影響の解析

HP用写真仲矢先生

研究代表者 仲矢道雄 (九州大学大学院薬学研究院薬効安全性学分野

http://chudoku.phar.kyushu-u.ac.jp/

組織が損傷すると、細胞死をきっかけにして、組織の線維化がおこる。この線維化は、コラーゲン等の細胞外マトリックスタンパク質を産生する筋線維芽細胞という細胞群によって実行される。本研究では、筋線維芽細胞による貪食に焦点をあて、それが組織の線維化に与える影響について解析する。

 

1. Nakaya M, Tajima M, Kosako H, Nakaya T, Hashimoto A, Watari K, Nishihara H, Ohba M, Komiya S, Tani N, Nishida M, Taniguchi H, Sato Y, Matsumoto M, Tsuda M, Kuroda M, Inoue K, Kurose H.

GRK6 deficiency in mice causes autoimmune disease.

Nat Commun. 4:1532. 2013

2.  Nakaya M, Chikura S, Watari K, Mizuno N, Mochinaga K, Mangmool S, Koyanagi S, Ohdo S, Sato Y, Ide T, Nishida M, Kurose H.

Induction of cardiac fibrosis by β-blocker in G protein-independent and G protein-coupled receptor kinase 5/β-arrestin2-dependent signaling pathways.

J. Biol. Chem. 287:35669-77. 2012

 

成体脳の嗅球ニューロン再生における死細胞の貪食の役割

HP用写真澤本先生

研究代表者 澤本和延 (名古屋市立大学大学院医学研究科再生医学分野

http://k-sawamoto.com/

脳内で外界からの嗅覚情報を処理する嗅球においては、成体においても継続的にニューロンの細胞死とニューロン新生が起こっている。我々は、嗅球内においてニューロンが死んだ場所に、同じ種類の新しいニューロンが優先的に組み込まれる感覚入力依存的なメカニズムを発見した。本研究では、二光子イメージング等を用いて、ミクログリアが死んだニューロンを除去し、新しいニューロンの生着を助けるメカニズムを明らかにしたい。

 

1. Ota H, Hikita T, Sawada M, Nishioka T, Matsumoto M, Komura M, Ohno A, Kamiya Y, Miyamoto T, Asai N, Enomoto A, Takahashi M, Kaibuchi K, Sobue K, Sawamoto K.

Speed control for neuronal migration in the postnatal brain by Gmip-mediated local inactivation of RhoA.

Nat Commun. 5: 4532. 2014

2. Sawada M, Kaneko N, Inada H, Wake H, Kato Y, Yanagawa Y, Kobayashi K, Nemoto T, Nabekura J, Sawamoto K.

Sensory input regulates spatial and subtype-specific patterns of neuronal turnover in the adult olfactory bulb.

Neurosci. 31:11587-96. 2011

 

脳虚血後の細胞死が誘導する脳修復メカニズムの解明

HP用写真七田先生

研究代表者 七田 崇 (慶應義塾大学医学部微生物学免疫学教室

http://new.immunoreg.jp/

脳梗塞は、深刻な後遺症や寝たきりの主な原因となっています。脳梗塞では、血流が低下することで脳が部分的に死に至り、大量の細胞死によって脳の環境はdrasticに変化します。炎症もその変化の1つですが、1週間程度で炎症は自然に治まって修復過程に入ります。本研究では、脳細胞死が発信するシグナルと炎症の収束過程との関係を明らかにし、炎症の収束を早めて修復を促進するような脳梗塞治療法の開発を目指します。

 

1. Shichita T, Hasegawa E, Kimura A, Morita R, Sakaguchi R, Takada I, Sekiya T, Ooboshi H, Kitazono T, Yanagawa T, Ishii T, Takahashi H, Mori S, Nishibori M, Kuroda K, Miyake K, Akira S, Yoshimura A.

Peroxiredoxin family proteins are key initiators of post-ischemic inflammation in the brain.

Nat Med. 18: 911-7. 2012

2. Shichita T, Sugiyama Y, Ooboshi H, Sugimori H, Nakagawa R, Takada I, Iwaki T, Okada Y, Iida M, Cua DJ, Iwakura Y, Yoshimura A.

Pivotal role of cerebral interleukin-17-producing gammadelta T cells in the delayed phase of ischemic brain injury.

Nat Med. 15:946-50. 2009

 

網膜神経細胞死に起因するシグナルネットワークにおける小胞体ストレス応答の重要性

宝田写真

研究代表者 宝田美佳 (金沢大学医薬保健研究域医学系 神経分子標的学

http://med03.w3.kanazawa-u.ac.jp/

我々は、中枢神経系病態において小胞体ストレス応答がグリア細胞を介し神経細胞死を制御することを見出している。本研究では、傷害神経細胞がどのように生体内でシグナルを派生させるかを明らかにするため、単一の神経回路傷害による神経変性モデル、視神経挫滅モデルを用いる。傷害神経、下流神経とその周囲グリア細胞間のシグナルネットワークにおける、小胞体ストレス応答の重要性とその分子機構を明らかにする。

 

1. Yoshikawa A, Kamide T, Hashida K, Ta HM, Inahata Y, Takarada-Iemata M, Hattori T, Mori K, Takahashi R, Matsuyama T, Hayashi Y, Kitao Y, Hori O.

Deletion of Atf6α impairs astroglial activation and enhances neuronal death following brain ischemia in mice.

J. Neurochem. 132:342-53. 2015

2. Takarada-Iemata M, Kezuka D, Takeichi T, Ikawa M, Hattori T, Kitao Y, Hori O.

Deletion of N-myc downstream-regulated gene 2 attenuates reactive astrogliosis and inflammatory response in a mouse model of cortical stab injury.

J. Neurochem. 130:374-87. 2014